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2011.09.18 Sun

バンガゼ

グラガゼ要素もあるかもしれない。
ガゼルさんのフェチ

------

その声が好きだ。言ったことはないがきっと相手にも伝わっている。
それは本意ではないが構わないとも思う。
黄金を宿した双眸も熱を閉じ込めた髪も好きだ。
それでもその声が一番好きだ。

バーンは近い。とても近い。何故そこまで近寄る必要があるのかと思うほどに近い。
男同士で密着するなどおぞましいことこのうえない。かといって女性に密着するのも問題なのだが。
私と話すときバーンは必要以上に近寄ってくる。それは試合の確認であったり、ちょっとした皮肉の言い合いであったり、夜の誘いであったりした。
何故そうも耳に擦り付けるようにして喋るのか。耳から熱を突っ込まれるようで、落ち着かない。

「君、近いよ」

何度そう言おうとも、バーンは距離を詰めてくる。
それは私が、その声が好きだと知ってのことか。
言ったことはない。だがきっと相手にも伝わっている。そしてそれは私の本意ではない。

「うるっせぇな」

私の耳に口を寄せ、顔の端を私の髪に埋めながらバーンはそれだけ言った。
くすぐったいので離れてほしいが、私が動くとバーンも動く。どう動いてもしつこく付いてくるので、諦めて逃げることをやめた。
「なぁ」と呼ばれて身体が震える。低い響きの言葉に全身を揺らされるようで、また逃げたくなる。ああ、くすぐったい。

「お前、変なフェチはいってるよな」
「フェチ・・・?」
「グランの体好きだろ」

誤解を生むような言い方はやめてくれないか。至近距離でがっちりと合わせられた視線に目を細め、口を開きかけて閉じる。
この分ではバレているな。そう確信して息を吐いた。
そう、私はグランの体が好きだ。正確にはグランのパーツが好きなのだが。
グランの手や、足や、目や。グランそのものは決して好きではないが、奴のパーツはとても好みなのだ。
まさかバーンがそんなことにも気付いていたなんて思いもよらず、不意をつかれて返しに困る。

「まぁ、ね。好みではあるよ。グランの持つパーツがね」
「ひでぇ趣味。」
「安心しなよ。一番好きなものは他にあるから」
「・・・あん?」

バーンの口元が笑みの形になる。一番好きなものは他にある。バーンはそれを知っている。それは私の本意ではない。
近い。言ってもバーンは気にしない。言えよとばかりに口を薄く開いてただ笑っている。焦らされているようで体の底が焼けた。

「その、熱い声。」

君の。それが好き。
だから聴かせてよ。
バーンはただ笑った。

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